「脱毛」と一口で言っても様々な方法かあります。
と、言いたいところですが、厳密には脱毛と呼べるのは「医療レーザー脱毛」と「ニードル脱毛」だけです。
ここでは(永久)脱毛の中でも人気の高い、医療レーザー脱毛が永久脱毛と呼ばれるその理由(仕組み)と、その他のムダ毛対策を紹介します。
間違った認識のまま、ムダ毛処理をすると、危険なこともありますので、是非とも参考にしてくださいね。
永久脱毛と言われる医療レーザー脱毛の仕組み
医療レーザー脱毛は、医療用のレーザーを肌に照射し、毛根にある発毛を促す組織を破壊して脱毛効果を得る仕組みです。
強力なレーザーを使用する医療行為のため、医療機関での施術のみ許可されています。

毛根は、毛乳頭とその毛乳頭を包む毛母細胞、毛母細胞に発毛を促す指令を送る毛隆起(バルジ)領域などで構成されています。
毛乳頭は、毛を成長させる栄養分や酸素を毛母細胞へ送り出し、毛母細胞が分裂と増殖を繰り返すことによって毛が成長します。
一般的な医療レーザー脱毛は、毛乳頭と毛母細胞を医療レーザーで破壊して脱毛効果を得る仕組みです。
最近では毛隆起(バルジ)領域を破壊して脱毛効果を得る仕組みも開発されています。
この2つの組織が破壊された毛は、レーザー照射後に自然に抜け落ち、その毛穴から再び毛が生えてくることはほとんどありません。
毛乳頭や毛母細胞にダメージを与える熱破壊式レーザー脱毛
医療レーザー脱毛は、レーザーが毛の黒い色素(メラニン色素)に反応し、肌表面に照射すると瞬時に熱を発して毛母細胞を破壊します。
この医療レーザー脱毛の仕組みは熱破壊式やショット式、単発式などと言われます。
熱破壊式の医療レーザーは、毛の黒い部分(メラニン色素)に反応して熱を発し発毛を促す細胞を破壊します。
発毛を促す細胞が破壊された後に残った毛は1~2週間程度で自然に抜け落ちる。
熱破壊式レーザーの特徴
- 破壊する組織は、毛乳頭や毛母細胞
- レーザーの出力は高い
- 痛みはやや強い
- 毛が濃くて太い部位に反応しやすい
- 日焼けした褐色の肌には対応できない場合がある
- 産毛に反応しにくい
毛隆起(バルジ)領域にダメージを与える蓄熱式レーザー脱毛
熱破壊式に対し、毛隆起(バルジ)領域にダメージを与える脱毛方法もあります。
この医療レーザー脱毛の仕組みは蓄熱式やSHR式などと言われます。
蓄熱式の医療レーザーは、じんわり熱を与えて毛隆起(バルジ)領域を破壊することによって、毛乳頭や毛母細胞へ毛の生成を促す指令が届かなくなります。
そのため、バルジ領域を破壊した毛穴から新たな毛が生えてくることはありません。
蓄熱式レーザーの特徴
- 破壊する組織は、毛隆起(バルジ)領域
- レーザーの出力は低い
- 痛みは弱い
- 産毛や日焼けした褐色の肌にも対応可能
1回の照射では終わらない医療レーザー脱毛
レーザー照射によって永久脱毛の効果を得ることができる医療レーザー脱毛ですが、1回照射しただけでは脱毛は完了しません。
そこには「毛周期」という、毛の生え変わりのサイクルが関係しています。
毛周期を理解することが効果的な医療レーザー脱毛を受けるためには大切です。
毛の生え変わりのサイクル「毛周期」
私たちの体に生えている毛は、生えては抜け、また生えてというサイクルを繰り返しています。
この毛の生え変わりのサイクルのことを「毛周期」と言い、毛周期は成長期・退行期・休止期の3つのサイクルからなっています。

- 【成長期】
毛母細胞の働きが活発で、毛が成長して伸びる期間 - 【退行期】
毛母細胞の働きも衰え、毛が毛根部から離れて抜けていく期間 - 【休止期】
毛母細毛の活動が止まり、毛が抜けて次の成長まで待機している期間
普段、私たちが目にしているのは、成長期と退行期にある毛のみで、皮膚の下には休止期にある毛が隠れています。
医療脱毛レーザーが効果を発揮するのは成長期の毛のみ
レーザーが反応して発毛組織を破壊できるのは、成長期にある毛だけです。
成長期にある毛は、毛母細胞の働きが活発で毛の色も濃いため、レーザーもよく反応し毛根までしっかり熱を伝えられます。
一方、退行期にある毛はメラニン色素も薄く、毛根部との結合も緩んでいるため、あまりレーザーに反応せず毛根周辺に十分にダメージを与えることができません。
成長期にある毛は、全体の20%程度と言われており、これが1回の照射で脱毛できる毛の割合です。
つまり、脱毛したい部位全体の毛を脱毛するには、少なくとも5~6回のレーザー照射が必要になります。
多くの医療脱毛クリニックで、5回や6回のコース設定が多いのは、こうした理由からです。
メモ
毛質や体質などの個人差により、照射回数が5~6回以上必要な場合があります。
また産毛(軟毛)はメラニン色素が少なくレーザーが反応しにくいため、照射回数は多めにかかりがちです。
毛周期は部位によって違う
さてこの毛周期ですが、生えている場所によって少しずつ違いがあります。
例えば最も毛周期が長いのは髪の毛で、退行期に入って抜け落ちるまでに数年かかると言われています。
一方、眉毛は毛周期の短い部位の一つで、生えかわりのペースは1〜2ヶ月程度です。
毛周期に合わせてレーザーを照射することが最も効率的だとするならば、脱毛したい部位の毛周期に合わせるのが一番です。
しかし、脇だけのように1部位だけ脱毛したい場合ならともかく、複数の部位や全身をまとめて脱毛したい場合は、それぞれの毛周期に合わせて施術を受けるというのは、照射のスケジュールが複雑になりすぎて現実的ではありません。
そもそも、体毛の濃さに個人差があるように、毛周期もホルモンバランスなどによって個人差があります。
また、同じ部位でも毛の太さや成長スピードにばらつきがあります。
そのため、一人ひとりの毛周期を正確に見極めることは、現実には不可能なことなのです。
医療レーザー脱毛のベストな受け方

実際に医療レーザー脱毛の効果を十分に得るために、ベストな受け方のポイントを紹介します。
最適な脱毛ペースは?
どれくらいのペースで通えば、最も効率良く脱毛を進めることができるのでしょうか?
結論から言いますと、多くの医療脱毛クリニックでは、2~3ヶ月ごとに施術を受けることを推奨しています。
この2~3ヶ月に1回の施術は、部位の差や個人差による毛周期のばらつきの平均を捉えたペースです。
これより短い間隔で施術を受けても、次の成長期に入った毛が少ないため、十分な効果が得られません。
早く脱毛を終えたいからといって、施術のサイクルを1ヶ月おきなどと短くしても、次の毛が成長期になっていなければ意味がなく、脱毛の回数が増えるだけとなってしまいます。
逆に期間をあけてしまうと、一度成長期に入った毛が再度退行期や休止期に入ってしまう事もあるため、特に脱毛を始めたばかりの頃に期間をあけすぎるのも効果を出しにくくなる原因です。
次の施術まで2~3ヶ月の間隔をあけることで、前回の照射の時に休止期にあった毛も順次成長期を迎え、効率的に医療レーザー脱毛を進めることができます。
ただし、VIO部分や男性のヒゲについてはこの周期ではなく、1か月半~2か月半毎の周期で設定しているクリニックも多くあります。
これはVIOやヒゲは毛が濃く、早めの周期で行った方が効果を発揮しやすいという点や、そもそも他のパーツとの組み合わせではなくこの部位だけで脱毛をする方が多い事が理由として挙げられます。
数回照射した後は、施術間隔をあけるという選択もアリ
2~3ヶ月の間隔をあけて数回の照射を受けると、生えてくる毛がだんだん少なくなってきます。
毛質も細くなり、自己処理の回数も少なくて済むようになったことを実感できるはずです。
この段階になるとすでに脱毛を終えた毛穴も増えてきて、毛周期のサイクルが長くなってくるので、施術間隔をさらにあけて十分に毛が生えそろってから照射する方が、1回の照射でより多くの毛にアプローチできる場合があります。
通院スケジュールの一例をあげるとすると、
- 1~2回目・・・2~3ヶ月おき
- 3~4回目・・・3~4ヶ月おき
- 5回目以降・・・5~6ヶ月おき
といったように、毛が生えそろうまで時間がかかるようであれば、その周期に合わせて徐々に施術間隔をあけたスケジュールの組み方を行うのも、最大限効果的な脱毛を行うためにオススメです。
同じ5回の照射でも、全て同じ間隔で1年の間に受けるよりも、後半の施術間隔を長くとって1年半かけて受けた方がより満足のいく結果になることが多いのです。
この、照射回数の後半の施術間隔を長くあけるという方法は、なるべく少ない回数でより満足のいく結果を出すためのベストな受け方だと言えます。
もちろん、毛質や肌質は一人ひとり異なりますので、脱毛完了までに必要な施術回数や施術間隔もみな同じという訳ではありません。
医師などと相談し、一人ひとりの毛質や肌質に合わせたスケジュールを組むことが大切です。
医療レーザー脱毛をする上で注意したいこと

医療レーザー脱毛を効果的に受けるためには、いくつかの注意点があります。
日焼けには注意
先ほどお伝えしたように、医療レーザー脱毛のレーザーは、メラニン色素に反応するという性質を持っています。
そのため、安全な脱毛を行うために、脱毛期間中は日焼けを避ける必要があります。
日焼けをすると、肌はダメージから身を守ろうとメラニンを大量に生成します。
日焼けした肌にレーザーを照射すると、肌のメラニンにも反応してしまい、やけどや炎症のリスクが高まります。
これが理由となって、日焼けしている肌では十分に脱毛効果がある出力でのレーザー照射が出来ない場合や、そもそも脱毛施術自体が不可能になってしまうケースがありますので、脱毛を受ける際には日焼けは絶対にさけるようにしましょう。
毛抜きによる自己処理は行わない
医療レーザー脱毛は毛のメラニン色素に反応するため、施術前に毛抜きを使用して自己処理をしてしまうと、レーザーは反応することができません。
また、脱毛直前だけではなく脱毛期間中に毛抜きで毛を抜いてしまうと、毛周期も狂ってしまいますので、脱毛効果も出にくくなります。
同様の理由から、ワックスや除毛クリームなどによる毛を根本から除去するような自己処理も行わないようにしましょう。
レーザー脱毛以外のムダ毛処理方法
冒頭でおお伝えしましたが「脱毛」とは「医療レーザー脱毛」と「ニードル脱毛」だけです。
医療レーザー脱毛についてはお伝えしましたので、ここではそれ以外のムダ毛処理の方法をお伝えします。
脱毛・抑毛・除毛とは?ムダ毛処理方法による効果の違い
ムダ毛処理とひとくくりにしても、処理方法によって得られる効果は異なり、大きく分けると、「脱毛」「抑毛」「除毛」の3つがあります。
【脱毛】発毛組織を破壊!
毛根にある毛乳頭や毛母細胞などの発毛組織を破壊し、毛がほとんど生えてこない状態にする
脱毛方法
- 医療レーザー脱毛
- ニードル脱毛
【抑毛】発毛組織にダメージを与える
毛根にある発毛組織にダメージを与え、一時的に毛の発育を抑える
抑毛方法
- 光(フラッシュ)脱毛
- 家庭用脱毛器
【除毛】一時的に毛を取り除く
毛を引き抜いたり剃ったりすることで、一時的に毛を取り除く
除毛方法
- ブラジリアンワックス
- 毛抜き
- 除毛クリーム
- シェーバー
- カミソリ
抑毛や除毛はあくまで一時的な脱毛効果のため、長期的な脱毛効果を得るにはニードル脱毛や医療レーザー脱毛による脱毛手段を選ぶことになります。
ニードル脱毛(脱毛)

ニードル脱毛(針脱毛/電気脱毛)は「絶縁針脱毛」とも呼ばれ、毛穴に針をさし、電流を流して毛根にある毛乳頭や毛母細胞を破壊する脱毛方法です。
また、絶縁針による施術は、医療機関でのみ使用が許可されており、一度脱毛した毛穴から二度と毛が生えてきません。
メリット
- ニードルで処理した毛穴から毛が再生することはない
- ほくろや入れ墨がある部位や白髪でも脱毛できる
- 肌質や肌の色を選ばず脱毛できる
- 医師や看護師が施術をおこなう
- 万が一の肌トラブルも医師による診察や処置が可能
デメリット
- 脱毛時の痛みが非常に強い※痛みを軽減する麻酔の使用が可能
- 毛穴をひとつずつ施術するため、1回の施術時間が長い
- 価格が高い
光脱毛(抑毛)

光(フラッシュ)脱毛は、主にエステサロンや脱毛専門サロンで用いられ、肌に特殊な光を照射して毛穴にダメージを与え、毛の発育を抑える仕組みです。
光がメラニンに反応して熱を発するので、医療レーザー脱毛の仕組みと原理は同じですが、照射する光の出力が弱いので毛根にある毛乳頭や毛母細胞を破壊するほどのパワーはなく、抑毛や制毛の効果を得る方法と言えます。
メリット
- 医療レーザーに比べ、光の照射出力が弱いので脱毛時の痛みが少ない
デメリット
- 抑毛効果のため、一度脱毛した箇所から再度毛が生えてくる
- 脱毛回数が多く、脱毛期間も長い
家庭用脱毛器(抑毛)

家庭用脱毛器は医療レーザー脱毛や光脱毛と同じように、毛の黒い部分(メラニン色素)に反応する光を照射して毛根にダメージを与えます。
ただし、家庭用なので誰でも安全に使うことができるように照射出力が制限され、毛根の組織を破壊できないので、あくまでも抑毛効果を得る方法のひとつです。
メリット
- 脱毛時の痛みが弱い
- 自宅で好きなときに脱毛できる
- 人に体を見られずに済む
デメリット
- 照射出力が弱いため効果を実感しづらい
- 自分で行うため打ち漏れが起きやすい
- カートリッジなどの追加費用がかかることがある
除毛クリーム(除毛)

通販やドラッグストアなどで手軽に手に入る除毛クリームは、化学成分で毛を溶かし、肌表面に生えている毛を除去する方法です。
あくまでも一時的な除毛なので、繰り返し自己処理を行う必要があります。
また、毛を溶かすほどの薬剤を使用するため、肌にもダメージを与えてしまい赤み・かゆみ・かぶれなどの肌トラブルを引き起こす可能性があります。
メリット
- 自宅にて短時間で除毛できる
- クリームを塗布するだけで一気に毛を除去できる
デメリット
- すぐ毛が生えてくるので定期的に行う必要がある
- 人によっては肌荒れすることもある
- パーマ剤のようなきついニオイがする
毛抜き・ブラジリアンワックス(除毛)

毛抜きによる自己処理は、毛を毛根から引き抜くため、肌の負担が大きく、色素沈着や埋没毛、毛嚢炎などの肌トラブルがおきるリスクがあります。
自宅や専用サロンで行えるワックス脱毛も同様です。
メリット
- 自宅で手軽に毛を処理できる
- ワックス脱毛の場合、産毛まで除去できるので肌がツルツルになる
- 自宅で好きなときに脱毛できる
デメリット
- 脱毛前に毛をある程度伸ばしておく必要がある
- 毛を引き抜く時に痛みを伴う
- 毛根や肌に負担をかけるため、色素沈着や埋没毛、毛嚢炎などの肌トラブルが起きやすい
カミソリ・シェーバー(除毛)

カミソリやシェーバを使った剃毛は、自宅で手軽にできる処理方法ですが、皮膚表面を傷つける可能性もあります。
必ずシェービングフォームなどを使って、肌を保護しながら行いましょう。
繰り返し行うと、肌荒れや摩擦による色素沈着を招く可能性があるのでやりすぎないように注意が必要です。
メリット
- 自宅で短時間で除毛できる
- 痛みが少ない
デメリット
- すぐにまた毛が生えてくるので、繰り返し自己処理が必要
- 深剃りすると、肌表面を傷つけ、トラブルにつながりやすい